皆川榮治のニュースレター 第079号2014年3月1日
news_field 日台関係は変る?

  ハッピーメール2013年12月号で「日台間で5項目協議がまとまる」をご報告し、最近の日台関係は大変良好な関係にある、と伝えましたが、私の25年間の台湾経験からの印象でも2013年の日台関係は最も深い関係にあったと言えます。尖閣諸島に関する多少の摩擦はあったとしても、何と言っても長年の懸案であった漁業交渉を締結に導いたことが最大の要因であると言えます。

 これは安倍首相の政治主導によるものですが、これを手始めに既報の3つの取り決めと2つの覚書きを締結しました。締結内容はそれぞれ①電子商取引取決②特許優先権電子文書交換覚書③薬物法規協力取決④鉄道交流了解覚書⑤航空捜索救難協力取決です。更に11月末には金融監督協力覚書を結びました。これらは2012年11月に締結した「日台投資協議」に基づくものです。一連の協議は各個締結にはなっていますが、事実上日台間のEPA(経済連携協定)が進んでいる状況にあります。
  ところがこの2014年始にこの状況が少し様変わりを見せています。
  1月7日に台湾日本人会及び台湾日僑工商会の合同新年会がありました。元来去年の11月にすでにアナウンスがあり、今年は2年ぶりに馬総統がこの新年会に参加され、ご挨拶されることが決まっていました。しかし、年明けになって急遽キャンセルされ、替わりに副総統が出席されることとなりましたが、これも前日になり取り消され、替わって親日家で司法院長の頼浩敏院長が出席されました。この方は東大出の親日家で日本人の間でも知られた方で当日のご挨拶等でもスムーズにことが運びました。
 しかし、国家の最高トップが約束していながら2度も変更になったことで、最も良好な関係にある日台間に何かあったのでは?との憶測を呼びましたが、間もなく台中間の両岸協議が開かれるとの発表がありました。
 協議は2月11日(火)に中国南京市で行なわれました。台湾側は行政院大陸委員会王郁琦主任委員、中国側は国務院台湾事務弁公室張志軍主任が双方のトップを務め、政府間の公式会談として行なわれました。と言うのは中国側としては従来民間窓口間の経済関係協議がECFA(経済連携枠組協定)など一定の前進をみたので、政治協議として公式会談を呼びかけたものです。中国側は政治的統合を意図しているのは明らかですが、台湾側は両岸の「現状維持」を前提に関係発展の協議を進めようとの意図です。
 馬政権としても経済関係で強化を進めてきただけに中国側からの政治協議の呼びかけに応えざるを得ず、この会談が始まりましたが総統への支持率が9%台に落ち込んだ現実の中で、対中接近でさらに経済的優位を狙って国民の支持率浮上を狙いたいところです。このような状況を見ていますと、台湾政府は昨年の日台の強い関係から台中関係強化に舵を切り始めているかのような印象があります。
 このように昨年の日台関係の良好さから見て、馬政権が一転して対中接近をはかりつつある背景には、日本への急接近に対する台湾政府部内の中国派の警戒感やそのまたそのバックにある中国政府からの突き上げがあったものと見方が一般的です。日本人会の新年会にまでこういう政治が入り込んで来たと言うことです。
 ただ、こういう事態になっても日本と台湾の関係は引き続き強いものがあり、台湾国内における経済文化交流面では良好な関係は変わっていません。特にこの1年の民間団体に於ける提携や協調は顕著なものがあります。都市間提携や団体間提携が増加しています。例えば台北市と静岡市の観光提携。四国松山駅と台北松山駅(同名駅)の提携。東京と台北の水道局間提携、白浜温泉と宣蘭礁渓温泉の提携。富士山と玉山の提携。台北101ビルと東京スカイツリーの提携などです。
それだけでなく最近は日本統治を離れたあとの日台関係が民間交流のみに終始している状況から政治的にも支援できる可能性を探ろうとして「台湾関係法」の制定を考える動きも出ています。
広島にもたくさんの名所や特徴があります。台湾の諸都市との共通点を架け橋に提携関係(例えば「宮島と淡水の夕陽」など)を探るのも意義のあることではないでしょうか?(了)


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