皆川榮治のニュースレター 第063号2012年11月1日
news_field 台湾の地下鉄

 今年1月5日、台北市に近い新荘市までの地下鉄新線が開通し、台北大衆捷運(しょううん)公司の運営する地下鉄(略称MRT---Mass Rapid Transit)では23番目の新線開通となりました。

 1996年12月に台湾の地下鉄が初めて開通したのが15年前の木柵線ですがそれ以来、一般乗降客の支持を得て年々拡張が行われ、今年1月の新荘線で全長111.1kmとなり、大阪市営地下鉄の129.9kmに近づきつつあり、また広島路面電車35.1km(軌道線と鉄道線を加えた総延長)の3倍の長さになったことになります(因みに東京は都営、営団合わせて246km)。
  厳密に言うなら、台北MRTは、1996年3月最初に開通した木柵線は新交通システムと言われる地上交通システムであり、大量輸送地下鉄とは異なります。1988年の工事開始以来、8年の年月をかけ生みの苦しみを経ながらの工事で、一時は安全の危惧などもささやかれていました。しかしそれに続く台北-淡水間を結ぶ淡水線が1997年3月高架区間を有する地下鉄として開通して以来、乗降客が増え利用者数が増加しました。車両は当初、対日貿易赤字の大きさから、日本製品の購入は抑えるとの意向で、ドイツシーメンス製及び米国川崎重工製が採用されました。しかし今では一部の線でシーメンス製が走っている以外は大部分川崎重工製になっています。
  この地下鉄網が充実した結果、台北市内の交通はかなり渋滞が緩和され、同時に台北市内の空気汚染が際立って改善されました。20年前には年中どんより曇っていた空が今では青空の見える日が多くなりましたし、夕焼けまでが美しく見えるようになりました。
  台北の地下鉄人気に乗って、南部の高雄でも2008年2月から地下鉄が開通し9月には全長42.7kmの本線が開通しました。が高雄の場合利用客の増加が台北ほど顕著でなく、高雄捷運公司(KRTC)は」苦しい経営状況にあります。高雄は人口100万都市ですが、人口規模に比べ道路幅が広いことから、車や二輪車の駐車が容易な為、二輪車通勤客の地下鉄への乗り変えが進まず、地下鉄利用の増加につながらない、との見方が多いようです。
  都市交通を考える場合、人口や道路状況、他の交通機関を含めた都市交通全体のあり方を総合的に整合するとの課題がありそうです。              (了)


新原経営顧問(股)公司