皆川榮治のニュースレター 第061号2012年9月1日
news_field 両岸投資保証協定

  2010年9月に締結されました両岸経済協力枠組み協定」(ECFA)により、台湾及び中国間の経済協力関係は一層強化されることになりましたが、一言で言えば、全ての産品の関税を3年後には全てゼロにすると言う取り決めで、これにより、台湾と中国の間には大変スムーズな貿易関係が実現することになりました。

 従ってこの影響で日本の対中国貿易が台湾との競争関係において劣勢に立ちかねない状況になり、これを防止する為、日本企業は台湾企業に合弁投資するなどの関係強化をはかり、対中国貿易の減少を食い止めようとの方向が出ています。
 しかし、このECFAが締結されたからと言って、そのまま台湾と中国との経済関係がスムーズに推移するとは限りません。企業間や企業と当局との間で紛争を起こすこともあるわけで、これら実際問題をECFA締結後6ヶ月以内に協議しようとの約束が台中間で決められ協議を進めることになっていましたが、このほど双方の代表が会談し合意することとなりました。
 経済部(経済産業省に当たる)の統計によりますと、1991年から2012年7月までに台湾と中国の間の投資案件は39,927件、1191億ドルにのぼっています。これは台湾の対外全投資の63%に達し、両岸の関係の深さが分かります。
 またこの同じ期間における両岸の経済貿易上の紛争案件は5087件にものぼっていますが、これは単純に上記投資件数と比べると13%にものぼり、かなりの紛争件数になります。台湾企業が対中国投資のスムーズな関係を築くには、紛争を解決する為の中国との取り決めが待たれていました。これがこのほどようやく合意したということです。
 このほど合意に達したのは正しくは「海峡両岸投資保証と保証協議」という名称ですが、勿論双方の代表者がサインした文書になっています。合意の内容は次の通りです。
1,大陸への投資に付きその範囲を拡大し、第3国経由の台湾企業の投資も可能となる
2,投資家の自由と安全を守る為、紛争時に身柄の拘束などを受けるときは、24時間以内に企業や家族に通報し、同時に台湾主務機関にも通報する。従来投資家の身柄拘束は7日以内に領事機関に通告することになっていました。
3,紛争発生時には、双方が話し合いで解決するほか、企業間の解決の為両岸の仲裁機関の仲裁を受けるか、双方の合意のもと、第3地域で仲裁を受けることができます。但しこれは企業間の紛争のみに適応されるもので、投資家対当局の紛争の国際的仲裁機関の介入は本協議でも認められていません。
 以上は日本企業の投資する台湾企業が中国で投資する場合、ビジネス相手とのトラブル解決にも適応されることになります。中国でのビジネス上のトラブルは発生しないことが望ましいことですが、発生時には上記のような取り決めがあることを知ってお気根きです。                               (以上)


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