皆川榮治のニュースレター 第060号2012年8月1日
news_field 台湾の尖閣列島問題

 尖閣列島問題は中国漁船による領海侵犯が話題になることが多いものですが、台湾でもときどき同じ話題が持ち上がります。
そもそも尖閣列島は1895年当時の明治政府が諸外国の領有事実がないことを確かめた上、領有を閣議決定したもので、それ以後も諸外国からの領有に関する抗議はありませんでした。
しかし、1968年にこの海域の地下資源調査で天然ガス等の資源埋蔵が発表されて以来、中国も台湾も「固有の領土」と主張し始めました。
それ以来度々中国からの領海侵犯が発生していますが、一昨年の海保巡視船との衝突事件とその中国人船長逮捕は代表的な事件と言えます。

 台湾では現政権が中国との経済関係強化のかたわら、日本との関係重視を続けていますので、領海侵犯等については比較的穏便に推移していますが、ここに来てこの尖閣問題について特徴的なニュースが3件ありました。
1つは7月3日台湾遊漁船が真夜中に領海内に入り、中国の五星紅旗を島に投げ込もうとしていたのですが、海に落とすと言う事件が発生し、台北の交流協会(大使館に当る)が台湾の外交窓口である亜東関係協会に抗議したと言うものです。
この遊漁船は中国と香港と台湾から成る世界華人保釣連盟と言う団体の所属ですが、今回の出来事で中国の後だてで活動していることが分かったもので、台湾の船であったことから外交関係の抗議になったものです。これを受けて交流協会台北事務所には連日台湾の活動家が現れ、抗議行動があり7月12日、13日には2つの活動グループが日本人学校正門に立って、抗議行動を行いました。児童が生活する学校に抗議すると言うのは筋違いも甚だしいと言うべきですが、日本人が確実にいる場所だけに抗議の対象としたのでしょう。台湾全体から見ると部分的な行動で大きな問題とは言えませんが、在台日本人の間では注意喚起が行われました。
2つ目は台湾における政治政党である「台湾団結連盟」が7月13日「尖閣諸島は日本領土である」と公式に宣言しました。一国の公党が正式に国の考え方とは異なる見解を表明することは珍しいことですが、これも台湾と日本の近さを示す一つの証左と言えるでしょう。小さな政党とは言え国会議員もいる政党ですから、台湾では勇気のある宣言であったと言えます。
3つ目はこの尖閣問題に関し、7月19日台湾の新聞「中国時報」が中国人及び台湾人の世論について、次の様な調査結果を発表しました。中国人、台湾人各1500人を対象とした調査の結果、「尖閣問題に関心がある」と答えた中国人が80%で、台湾人46%の倍近くに及んでいました。また「尖閣領有に関し武力行使しても良い」と答える中国人が90%に対し、台湾人は41%と言う結果でした。
台湾人の尖閣諸島に対する関心や武力行使に関する考え方は全体の半数以下で、中国人と比べると領土問題と言う微妙な問題でありながら、比較的落ち着いている、と言えそうです。                   (了)


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