皆川榮治のニュースレター 第059号2012年7月1日
news_field 日本酒の関税引き下げ

 以前にも本誌にて報告したことがありますが、台湾における酒類の関税は大変低く抑えられており、ウィスキー・ブランディの0%を始めビール5%、ワイン10%などほとんどの酒類が低関税またはゼロになっています。ところが日本酒、焼酎など日本からのお酒については40%と言う高率になっています。これはどう考えても日本酒業界としてはいただけない話です。

 理由はいくつかある様ですが、最も大きな理由は台湾には米酒(「ミーチョウ」)と言う、同じお米を原料とする酒があり、日本酒、焼酎の消費が増えるとミーチョウの購買力が減り、ミーチョウの原料であるお米の生産量が減少する。従って国内産米の保護のため、日本酒、焼酎は関税を高くしているというものです。
 財政部(日本の財務省に当たる)の見解は次の通りです。
 台湾がWTOに加入したとき(2000年1月)日本との間で協議し、日本酒及び焼酎は米を原料とする酒類である為、この税率を引き下げたなら台湾の国産酒即ち米酒(ミーチョウ)及び米そのものの販売量に影響が大きいため、引き下げられないとの決定を見た、としています。
 そこで筆者は台湾日本人会の仕事もしている関係で、先週の会合(6月18日(月))でこの問題を提起し、日本人会または台北市日本工商会で具体的に台湾政府に要求を強めるべきである、と提言しました。後日、交流協会(大使館に当たる)から回答があり、6月20日、日台定期協議がありこの問題を話し合いましたが、台湾側の主張は米産業保護の立場のほか、日本酒の関税引き下げをしたなら、米酒(ミーチョウ)との価格差が縮まり、所得の低い原住民などの米酒(ミーチョウ)文化が消え去る可能性があるとの見解で、引き下げには消極的であったとのこと。日本側としては日本酒や焼酎と米酒(ミーチョウ)とは価格帯も異なり、食文化も違うので関税が引き下げられても米酒(ミーチョウ)への影響はない、との説明を証拠を挙げて主張しましたが、協議は他の案件(バナナや枝豆)との駆け引き論に使われる側面を持っており、平行線のままであるとのことでした。
日本側の今後の方向としてはFTAなどの総括的交渉の中で解決することになるのでは?との見通しを聴き取った次第です。                   (了)


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