皆川榮治のニュースレター 第058号2012年6月1日
news_field 台湾の財政事情

 ヨーロッパの債務危機はギリシャの国債償還時期(2013年3月)を取り敢えず乗り越えたかに見えますが、まだまだ次の危機が待ち構えているようで不安は消えません。日本の財政もGDPの2倍以上にも及ぶ累積赤字国債を抱え、危機的状態にありますが、日本はまだ外国に依存しておらず、国債の95%を国内で消化しているところにヨーロッパと比べ、安心できる要因のようですが、その金額の大きさは危機的と言っても過言ではなく、国民こぞって考えねばならない課題です。

 これに比べ台湾の財政状況は今まで余り大きく取り上げられることがありませんでした。今回は台湾の財政状況の概略を報告します。
台湾の財政状況が余り騒がれなかったのは2つの理由があります。
 ひとつは2012年4月の時点で、累積債務が5兆元(約13兆7千億円)に達しましたが、対GDP比率がまだ35%以下と比較的低い比率にあったことです。
 台湾政府はGDP(約13兆元)の40%を法定上限値として決めており、今まではその範囲内にあったが為、安心感ありました。もうひとつ、台湾は外債国家ではない、すなわち日本と同じく自国民及び国内企業が国債を保有して来たと言う事情があります。つまり外国に依存していませんでした。
 しかしこの数年、2008年以後の国家建設計画「愛台12項建設」と言う国家プロジェクトを推進して来たことに加え、昨年企業所得税を25%から17%に引き下げたこと、昨年7月に公務員・教職員給与を3%引き上げたことなどから、歳入減と歳出増の差が大きくなり、法定上限値40%に漸近して来たことによって、国債負担比率の大きさが騒がれるようになりました。
 このレベルで国民に国債の大きさを考えさせるのは、日本の現状から見ればまだまだ健全だと言えるものと思いますが、政府は法定比率が近づいていることに危機感を持ち、行政院長(首相に当たる)が2012年度予算はゼロベース予算を宣言しました。
 すなわちあらゆる予算項目をゼロ予算で考える、つまりゼロから出発して費用を考えるよう指示し危機感を国民に呼びかけています。
 日本のような超過大赤字国債に膨らまないためにも、台湾政府の舵取りが期待されるところです。


新原経営顧問(股)公司