皆川榮治のニュースレター 第32号(2004年1月5日)

コンサルティング投資とKKDの重要さ

 最近、ある会社の総経理から次のような話を聞きました。「台湾の幹部達は、日本の会社の幹部とちがって、いくら打合せをしてもその通りに実行出来ないことが多い。その上、彼らを外部の研修会に参加させても、少しも効果が挙がらない。」
 そこで、今日はコンサルティング投資に対する考え方と経営者にとってKKD(経験と勘と度胸)が如何に重要であるかをお話してみたいと思います。
 初めに申し上げたいことは「投資や費用は必ず効果(利益)を生まなければならない」と言うことです。これは、一般的には次の2つの考え方になって現れます。
 1.効果が明確だから、この投資(或いは費用投入)を実行しよう
 2.効果が見えないから、この投資はやめよう
 しかし、投資や費用投入の効果が、いつでも明確に分るものなら企業経営とは簡単な仕事だと言えるでしょう。
 私は度々申し上げておりますが、経営者はときとして30%の情報でもって決断しなければならないことがあります。
 例えば、次の様な場合、効果に関する情報が見えない為、決断は容易ではありません。
 「我が社の営業活動が他社と比べ特色がなくなっている、むしろライバルよりも劣勢なのでは?顧客満足度を正確に把握して、問題を解決しなければならない。」
 外部機関に委嘱すると客観的なデータから問題点を明確にしてくれるが、費用がかかる。対策の方向も提示してくれるようだが、費用の金額に比べたら効果が小さいのでは?むしろ、質問票を作って自社の営業員に調べさせると費用はかからないし、ある程度のことは分る。これで行こう。
 費用の額の大きさと効果を比べた場合、効果に関する情報がない(確信が持てない)為、投入をやめると言うことになります。
 幹部教育についても同じです。幹部を教育したいが、費用がかかるし、教育しても余り幹部が成長することも期待できない、と言う判断になります。
 効果が見えないから投資をしないと言う考えや態度では、余りにも受動的ではないでしょうか?最初に申しました様に、費用というのは必ず効果を生まなければなりません。即ち、費用投入(或いは投資)したなら、必ず効果(利益)を生み出して見せる、と言う発想です。
 つまり、効果のある投資なら実行する、と言うのではなく、効果に関する情報が欠けているなら、その部分は自分で創り出して効果を挙げて見せよう、と言う主体的判断です。
 例えば、コストダウン活動を全従業員の参画を得て、年間10%以上を達成しなければならないと言う課題の場合、社内の経験だけでやっていたのでは充分な成果が出ない、専門家を招いて専門家の手法を導入して実現しよう、経営者自らが陣頭に立って専門家の指導を受け、費用をはるかに上回る効果を挙げて見せよう、と言う判断です。

 新原経営顧問(股)公司が提供している「幹部訓練班」は正にその好例です。最近この訓練班に派遣して下さる企業の経営者の方々は、大部分この「幹部訓練班」の活かし方を理解しておられ、自社の中で充分な活用をして下さるので、費用を上回る成果が挙がり、卒業された幹部達が目に見えて行動革新し、社内で自分の部下にまで同じ仕事の仕方を指導してくれるので、効果に関する情報が目に見えて明らかなのです。従って、多くの幹部を派遣する判断をしていただいているわけです。
 企業診断、営業活動の改革、職能資格制度の導入、人事評価制度の革新、全社コストダウン活動の実行、ISO導入、顧客満足度調査等々、すべてのコンサルティング投資において同じ事が言えます。
 当然のことながら、良いコンサルタントを選ぶことは言うまでもありません。ただ単に制度導入だけに止まらず、その定着、実行の方法を教え、幹部をして実行させてくれるコンサルタントを選ぶことが第一条件です。しかし、それよりもっと大切なことは、コンサルティングの指導を如何に活用しきれるか、経営者自身の判断にかかっているのです。
 例えば、企業診断をします。コンサルタントによって我が社の問題点とその改善方法が明確に示されます。しかし、100万元もかけて企業診断した結果、これを実行して改革しなければ何も意味がありません。診断結果とコンサルタントを継続活用することにより、かかった投資額を上回る利益を創り出して行くのです。
――― これが投資を判断するときの、経営者の決断です。

 30年も前になりますが、日本ではTQCが大流行しました。多くの企業がこれを導入し、取組みました。日本企業全体の品質観念レベルを向上させる上で、大きく貢献した経営活動でした。企業経営のあらゆるところに品質があり、これを向上させる為に科学的思考、論理的実行を定着させようと言うものです。従って、それまでの日本企業の主流であった経験と勘と度胸(即ちKKD)に頼った経営とは決別しなければならない、と言う教えであり、大変大きな成果を挙げたものです。
 しかし私は、その当時も、今もそうですが、TQCの前提にKKDを備えていなければならないと考えています。KKDがあってこそTQCが活かされるのです。TQCを習得して科学的、論理的に思考できるけれど、何の決断もできない経営者では意味がありません。部下に対し論理的な説明は求めるが、なかなか決断のできない経営者では、会社の発展はおぼつかないでしょう。
 KKDの重要性、特にD即ち度胸の重要性を、どうぞご理解頂きたいと思うのです。度胸のある経営者は、自分の責任と意欲で投資を決断し、自らのリーダーシップで活用をはかり、投資の何倍もの効果を摘み取り、会社を発展へと導いて行きます。

 一方、経営者に良い仕事の指導や具体策を提供出来ること――これがコンサルタントの重要な役割です。

新原経営顧問(股)公司