皆川榮治のニュースレター 第28号(2003年07月29日)

北朝鮮多国間協議へ?
―拉致も、核開発も解決へ?-


 7月27日の朝鮮戦争戦勝記念日のパレードやセレモニーはとうとう行われませんでした。今月中旬、弊社BASIC MANAGEMENT SCHOOLの第11期及び第12期の2回にわたり、7月27日の北朝鮮の自称戦勝記念日でどの様なセレモニーを行うかによって、今後の北の対米、対日、対韓交渉の行方が分ると申し上げて来ましたが、予想通りの結果となりました。即ち、国威高揚の為には軍事パレードや大規模セレモニー(マズゲーム等)及び思賜食料の配給が欠かせないにも拘らず、とうとう重油切れ、物資切れが深刻化してきたことが明確になったと言えます。
 今年、2月及び4月の金日成、金正日の誕生日セレモニーも昨年の10分の1以下の規模であり、特別配給も食糧交換券になったとの報道がありました。これから見て困窮状況は歴然としていました。食料交換券は人民が受け取ったものの、交換する食料がもらえない状況すら発生していました。
今回は更に軍事パレードができない状況を露呈したということです。中国がパレードを抑制したとの説もありますが、これは北からのデマに過ぎません。北の軍事車輌(戦車、ミサイル運搬車等)は全て旧ソ連製で、ディーゼルエンジン車輌のため点火プラグがありません。圧縮空気を使って始動する方式ですから、毎日起動して圧縮空気を保持し続けなければいけません。何千台の車輌には全てこのディーゼル重油が必要ですが、もう今や北の車輌は必要最小限(ミサイル運搬用)を除いて起動できる状態にないと言えそうです。
 アメリカ政府も日本政府も当然これを承知しているので、北朝鮮との交渉に対し以前のように譲歩することなく、強い態度を取っているのです。従って、石油、物資を一日でも早く必要な北は近々のうちに対米、対日交渉で急転譲歩してくるにちがいありません。
 昨年9月17日小泉訪朝に際し、予想を裏切って拉致告白することによって日本の援助支援を受けられると読んだ(結果は日本の世論が舞い上がって、対北強行姿勢につながり、金正日の思惑ははずれてしまいました)のと同様、譲歩を重ねて援助を受け取る手段に出てくるにちがいありません。
 日本の拉致家族の会は、昨日政府に対し対北経済制裁する様求めましたが、この間の事情を承知しての行動であることはまちがいありません。今、圧力を加えれば北は必ず譲歩して来る、との読みです。逆に「核開発し、使用するぞ」と北から脅されて、今人道支援などと言う美名のもとに援助しようものなら、北の思うつぼにはまります。
 今や北は困窮のどん底にいますから、交渉は急転、譲歩して来るにちがいありません。交渉に日本、韓国をはずすと言っていたものが日本、韓国を含む多国間交渉になるでしょう。核開発中止と査察受入も、受け入れるでしょう。
 但し、拉致問題解決は日本と中国、韓国の足並みが揃えばとの条件がつくことは否めません。
 韓国は今、個別に北と人道援助の話しを進めています。自国の500人に昇る拉致被害者に関しては目をつぶっています。北の政権が今崩壊したら治安は大混乱し、更に統合でもしようものなら、ただでさえ悪い韓国経済がガタガタになりかねません。韓国はこれを最も恐れています。従って北の人民がどんなに苦しもうと、今の政権を維持していてほしいのです。
 北が崩壊したら、援助し得るのは日本とアメリカ以外にありません。
 従って、今最も重要なことは日米が協調して更に圧力をかけ、核開発の完全中止と査察、更に拉致の完全解決(日本も100名前後の全員の解決)へと追い込むことです。
 圧力によって核も拉致も解決へと言う図式の正しさが見えて来たと言えるでしょう。

新原経営顧問(股)公司