皆川榮治のニュースレター 第27号(2003年07月16日)

駐在武官


 台北の交流協会に駐在武官がおられるのをご存知でしょうか?正式には、防衛駐在官と言います。今年の1月初めに自衛隊から日台断交後初めて派遣され、台湾に来られたと言うことです。
 4月に弊社の講演会時にお招きして、話して頂こうと思って申し入れしたところ、まだ慣れていないのでとやんわりと断られてしまったいきさつがあり、過日訪問してお会いする機会がありました。
 長野陽一先生と言う元陸将補(中将に当る)で、今は退官し民間人の立場におられる方です。
 いずれこの方をお招きして、軍事戦略上のお話しをお伺いする機会を持ちたいと思っていますが、私はなぜ今台湾にこの方が来ておられるのか?ということを考えてみたいのです。
 過去30年間にわたり国防に関する武官を台湾に派遣して来なかったのに、ここにきてなぜ派遣したか?と言うことが、一つの事件だと言っても過言ではありません。
 公には日本は中国と国交を持っており「中国が一つ」であることを「尊重する」立場をとっています。従って、日本と台湾が政治上交流することはできない国際関係が成り立っています。
 しかし、元来一国の国際関係は自国が決めることであって、他国の干渉を許すことではないのが当然ですが、日本は30年来中国の政治姿勢に気を使っており、中国の意向を尊重する姿勢が強いのは周知の通りです。
 従って、過去30年間台湾に関する軍事的脅威は考える必要がなかったか、考えなくても何とかなっていたのでしょう。
 ソ連崩壊までの冷戦時代は米ソの対立が世界の対立構造の中心でしたから、台湾の両岸関係は対立構造にあるとは言え、日本人の目を集める程の脅威とは映らなかったと言えます。中国もときとして米国と接近する立場にもありましたし、中国も台湾も「一つの中国」と言ってきたことから、「いずれは一つ」との考え方が主流で、厳しい対立関係が見えなかったのです。
 しかし、台湾に李登輝さんが登場し、台湾の自立を言い始めてから俄然状況が変り始め、今では両岸は対立関係にあると言ってよいでしょう。
 ご存知の通り、今台湾は国論が2分され、"本土派"と呼ばれる台湾自立を考える立場と、"統一派"と呼ばれるいずれは中国と一つになるとする立場とに分れています。ただいずれにしても今の中国とは政治的に対立関係にあることに変りなく、中国は対岸に450基と言われるミサイルを並べて、台湾をうかがっています。日本にとって言うまでもなく、台湾海峡は生命線の一つであり、その片側が仮想敵国のミサイルに直面していると言うことです。
 国防を考える当事者(日本では防衛庁)は当然日本が危険にさらされるあらゆる事態を考えて、その行動を準備しておかねばなりません。政治の世界が、両岸に有事が起こることを考えていないと発言したとしても、この有事を想定して艦船をどのように動かすか?航空機をどのように出動するか?また、台湾にいる邦人をどの様に守るかも考えておかねばならないのです。
 日本政府が今年1月から、民間人になった人とは言え、台湾に武官を送り込んだことは明確にこれを想定した台湾国防軍との調整連絡が目的と考えるべきでしょう。北朝鮮脅威を始めとして、日本人の多くに国防を考える意識が出てきていることもその背景にあると考えられます。
 先日、長野先生とお会いしました。
「台湾有事を考えると、当然米国がやって来ます。そうすると日米安保条約から日本も艦船、航空機支援を送ることになります。その場合、台湾国防軍とどの様に協力し合うかと言うことは、予め打合せをしておく必要がありますね。」と私が申し上げたら、長野先生は首を縦に振られました。
お立場上と言うより、日本国憲法や、憲法解釈や、台湾との外交関係がない等々の制約から、長野先生の発言は大変難しい立場にあることがよく分かります。
 しかし「個人的なお話は、いつでもお酒でも飲みながらやりましょう。」ということになりました。割勘でやることになっています
 有志の方3~4名集めて、長野先生を囲む食事会を考えています。
 近々のうちにホームページに載せますから、一緒に参加したい方はおっしゃって下さい。おおいに日台防衛について聴き・語り合おうではありませんか。

新原経営顧問(股)公司