皆川榮治のニュースレター 第26号(2003年07月15日)

日本人トップと台湾人幹部のギャップ


 前にも書きましたが、弊社の幹部訓練班はこのところ2ヶ月に1期(20名)の割合で開講しています。
 4~5年前には、年に3期。それも1期12人で開講することもありましたが、今では年5~6期開講し、毎期フルメンバーとなっていますが、これは三位一体方式による"効果が挙がり、成果が見える"研修であることが受講生自身にも、また派遣企業の経営トップにも理解を得られるようになったからだと確信しています。
 先週、7月9日(水)に第25期卒業式がありました。卒業式を前に卒業試験に合格した受講生全員に1人ずつ"感想と今後の決意"を語っていただくことにしていますが、数人の受講生が次の様に語りました。
 「この幹部訓練班はめんどうだし、プレッシャーが大きい。しかし、効果があるし、私自身が変った」と。
 これは今回だけのことではありません。毎回卒業式の度に、このような発言を聞くことができ、私はその都度、嬉しい思いをしています。
 さて、以前にも書きましたが、これら受講生がたった4ケ月の受講期間の中で行動が変るのは、言うまでもなく三位一体方式にその理由があるのですが、最も重要な役割を担うのが、派遣企業の経営トップの関わり方です。全6回の研修会の各回のインターバルに、受講生が社内で経営トップや上司に報告会を行い、20項目にわたる行動革新項目の社内における実行状況についてチェック指導を受けるという仕組みを持っていますが、これを経営トップがどれだけ活用し得るかが、受講生の行動革新の大きさに関わってくるのです。
 私はかねがね申し上げてきました。「幹部教育は経営トップの仕事である」と。
 弊社の幹部訓練班を活用して、幹部の管理能力向上を実現して来られた経営トップが、だんだん増えていることは、心から喜ばしいことだと私は思っています。
 幹部達の研修における取り組み状況を真剣にチェック・指導して下さる経営トップがおられるから、彼ら台湾人幹部達が成長を遂げられるのです。
幹部教育に熱心で、かつ企業改革に心を傾けておられる日本人経営者が増えていることを私は心から喜んでいます。
 しかし、この様な状況の中で、私は今日もう一つ主張したいことがあります。
 それは、弊社の幹部訓練班に参加して行動革新し、今後も成長したいと考える台湾人幹部達が育って行く一方で、日本人経営者とのギャップを感じ始めている幹部が増えていると言うことです。
 台湾人幹部達は、幹部訓練班で企業における管理のやり方を具体的に学びます。会社の中で、それを実行しようと考えます。彼らが社内で実行し易いように、幹部訓練班履修中は毎回研修会の翌日、弊社から経営トップ宛「学習内容」を記したものをFAXで伝えます。
 従って、幹部達の学んで来た概要を経営トップが把握できるようになっています。しかし、経営のやり方を習熟されたベテラン経営者ならともかく、台湾で経営に当られる日本人経営者の場合、幹部達の学んで来た具体的実行内容に習熟していないことが多く、ましてや指導することは困難なケースがほとんどです。本人は指導しているつもりでも、幹部達から見ればズレているのです。ここに幹部達と日本人経営トップの間にギャップが生じる原因があります。
 例えば、経営には業績を挙げる仕事と幹部・従業員の能力を発揮させる仕事があるのですが、具体的に何をすることか?が分りません。
 幹部達は会議の仕方や個別検討会の仕方を学んでいますが、会社の中で統一的な指導の動きがない為、実際の運用は個人レベルに止どまり、会社との距離さえ感じ始めるのです。
 これからの会議は資料の前日配布、読後参加、全員発言、行動決定が主流だと幹部達は知っていますが、経営トップはその意識がないと言うギャップが出てくるのです。
 この様なケースの場合、幹部達は幹部訓練班を卒業したことによって、確かに行動が変り一定の成長をします。しかし、大きく会社が変るという成果にはつながりません。
 私が目指している企業改革は、工場の現場で、また営業の現場で顧客や関係人員のことを真剣に考えた仕事ができる幹部・従業員をつくることです。
顧客の立場に立った情報やサービスを提供し、顧客の問題を解決できる営業幹部や営業員、そしてまた人のことを考えて使ったものは必ず元へ戻し、決め事を守れる現場人員、部下の仕事を厳しく指導できる管理者をつくることが私の使命だと考えています。
 ある人達は、台湾ではそんなことはムリ、とあきらめています。私は台湾企業経営13年、コンサルタント10年の経験から「ムリではない」「やり方次第」と考えています。
 どうか、日本人経営トップの方は幹部に研修させるだけでなく、自身も勉強して下さい。
 その為に弊社では「幹部訓練班」の上に日本人経営者の為の「BASIC MANAGEMENT SCHOOL」を用意しています。これを履修されることが、上記の様な幹部とのギャップを解消し、一体となって経営改革できる最短の道です。経営トップと台湾人幹部のベクトルが完全に一致します。どうか、幹部との経営ギャップについて真剣に考え、解消を目指して頂きたいと思います。
 「分っているつもり」の経営が、やる気のある幹部達とのギャップを生んでいるのです。

新原経営顧問(股)公司