皆川榮治のニュースレター 第25号(2003年05月13日)

企業のSARS防衛対策


 某日系食品企業では、SARSの自社内感染阻止対策として日本本社からのアドバイスもあり、次の様な対策を決めました。即ち――
  1. 海外出張は全て厳禁
  2. 但し、緊急を要する日本本社との調整業務は、日本技術者の来台により場所を限定して行う
  3. 不急の来客は、原則として丁重にお断りする
  4. 外来の来客者との商談は事務所外の風通しの良い場所で行う
  5. 台北市外への業務上の出張は原則禁止(市外から市内へも同様)
  6. 市内出張でも、人の集まる場所への出張は禁止
  7. 工場内消毒は1週2回実施
  8. 検温、マスク装着、うがい、手洗いの完全実施
 自社内へのSARS感染を完全シャットアウトしなければならない企業の対策です。
 しかし、食品会社でなくても自社内へのSARS感染は、何としても防止しなければなりません。従って上記同様の対策は必要となります。
 しかし、上記No.3~6の内容は生産・営業活動維持の観点から、若干緩和されるべきものがあってよいでしょう。即ち、会社内での消毒の実施と検温及びマスク装着の完全実施を前提として
  1. 業務上必要な場合は国内出張を命ずる
    但し、マスク装着と相手企業の消毒を確認する
  2. 会議は広い場所で行い、空気の流通を確保する
 その他、上記No,1~2及び8は食品会社と同様とします。但しNo.7の消毒は多少回数を緩和しても良いでしょう。
 更に大切なことは、業務上必要とする出張を命ずるとき、従業員が拒否する事態が発生しては、社内の秩序に混乱が起こります。従って、これを避ける為には、出張する従業員及び上司を呼んで相談し、誰が行くのが良いかを、決めさせる形で指示するという配慮を徹底することをお勧めします。
 また、言うまでもないことですが、社員全員に我が社にSARSを持ちこまないトップの決意を示すと同時に、「感染し易いところへ行かないことと、マスク、うがい、手洗いの実行と共に、健康維持を第一とする旨」を求めて下さい。健康な身体は感染しない、従って充分な睡眠とバランスある栄養をとり、過労は避けることの徹底指導を強く打ち出すことです。残業も減少し、多くても決して2時間を超えないようにしましょう。
 尚、日本人幹部及び妻子の帰国については、本社の指示に従うべきでしょうが、現状においては帰国させることは一概に賛成できません。

第1に、帰国後10日間の隔離を勧告されている
第2に、台湾において「その幹部がいなくてもよい存在だったのか?」となる
第3に、子供の教育が中断される

 むしろ、家族そろって健康第一に専念することを、優先的に考えるべきでしょう。
 日本人は比較的行動範囲が限られており、感染し易いところへ行く機会が少ないのが、日本人に感染者が出ていない理由と考えますが、台湾においても、これは言えるでしょう。
 SARS感染で企業の信用をなくしては、元も子もありません。各位のご奮闘を祈ります。

新原経営顧問(股)公司