皆川榮治のニュースレター 第24号(2003年05月08日)

台湾でのSARS対応の状況


 4月4日、日本政府は台湾をSARSに関する「危険情報の対象地域」に指定し、渡航を差し控えた方がよい地域としました。
 台湾でのSARS発生状況は次の通りです。
 3月27日までに17名の感染者が確認され、政府は同日、法定伝染病に指定しました。即ち、感染の疑いが出た場合、直ちに患者及び関係者を隔離し、治療及び予防に当ると言う厳しい体制を始めました。
 SARSが最初に発生したのは2月26日で、ハノイに来た中国系米国人がSARS患者と確認されたのが第1号でしたが、それから1ヶ月で台湾にも17名が発生したことになります。
 しかし、このハノイの第1号も含めこれらの患者が全て、2月末に広東から香港に来た男性医師が宿泊した同じホテルの宿泊者及び彼らと接触した人達で、経路は明らかに広東-香港経由でした。
 その後台湾政府は、台湾国内の感染を防ぐべく万全の体制をとると同時に、WHOに対しWHO未加盟(中国の反対で加盟していない)の台湾にも情報提供する様求め、また昨年11月末以後情報公開しなかった中国の秘密主義が今日の蔓延をもたらしたと非難しました。これに対しWHOは態度を改め、台湾にも情報提供すると共に、交流を開始するだけでなく、「危険情報地域」の指定を解除しました。
 しかし、4月23日台北和平病院で7名の集団感染が見つかり、同時に東海岸の宜蘭にある日系電機メーカーの工場で2名の感染の疑いのある患者が発生し、隔離されました。特に和平病院では即日、外来患者、見舞客、職員を含め900名を足止めし、全員1週間の隔離状況におき、2次感染の防止体制をとっています。
 当然、隔離された健康者からは反発も出ていますが、法定伝染病で有事ですから隔離状態に強制的に置かれています。しかし、同病院の外科医や看護婦が隔離の目をのがれて脱出するなど、混乱やモラルの低さが同化しています。その後、仁済病院でも発生するなど5月6日現在116人の可能性例患者(内死亡10名)が確認され、次第に拡散している状況です。(宜蘭の日本電機メーカーの2名は5月3日時点でシロと判明、退院し、同社も操業を開始しました。)
 また、5月7日、日本政府は再び台湾を「渡航是非の要検討地域」と指定し、併せて台湾からの帰国者には10日間の「外出自粛要請」を勧告しました。
 この様な状況の中で、産業界では次の様な事態或いは危惧が起こっています。
 第1は宜蘭の工場は4月23、24日の2日間、当局の指示で操業停止、全工場消毒実施しましたが、これを受けて取引先顧客から貴社工場製品は納入しないように指示があり、対応に苦慮したようです。全製品消毒を実施して、納入することで解決したと言うことですが、顧客の過敏が混乱を増幅しています。
 また、米国マイクロソフト社は4月初め、協力メーカーの広東工場でつくらせていたゲーム機の生産を、広東からメキシコに移すよう指示しました。これを受けて台湾の4メーカーでも広東地区でマイクロソフトやソニー、任天堂のゲーム機をつくっている工場があり、対応策を検討し始めています。即ち、代替工場の体制づくりです。
 また、4月15日から広東の広州市で開催した広州交易会には、台湾からの参加は全て取消しており、今の状況が続けば各国で交易、商談、投資の中断が予想され、産業の停滞につながりかねません。
 さて、台湾での以上の様な状況から判断して、産業界のSARS対策として次の様なことが考えられます。
  1. 感染地区への出張(渡航)禁止
  2. 感染地区への出張者、駐在員は即時引き揚げ、10日間自宅隔離する
    (医師の指導の下)
  3. 自社で患者が発生した場合に備え、県、市政府当局と連携を取る
  4. 自社で患者が発生した場合、社内の建物、人員、事務所機器のみならず、製品の全消毒を行い、当局の証明を受ける
  5. 顧客の過敏反応に対応できる様、当局の消毒と証明を受ける体制をとっておく
  6. 自社内対策は公開する
  7. 自社内発生に備えて、代替生産地を準備する台湾内でも人の集まる場所への不急の出張は避ける
尚、台湾内の業務上必要な出張、移動に対し、従業員から出張拒否するような事態が起こる場合には、政府の対策を信頼し、また台湾内の経済活動維持の責務から拒否を受け入れるべきではありません。

新原経営顧問(股)公司