皆川榮治のニュースレター 第17号(2003年2月13日)

経営を知らない経営トップ

 前号で「企業革新をする企業が増えている」と申し上げましたが、企業革新する為に経営トップ自身が次の2つを備えていることが大前提となります。

1. 経営革新の仕方を知っている
 特に台湾人幹部を使って、彼らの力を発揮させて改革を進める方法、
 即ち、経営を知っていること。

2. 経営革新の必要性を認識している
 マネジメント力の強さが企業の強さであり、これを改革強化することが
 リストラであることを認識していること。

 経営革新の第1歩は、前回申しましたように幹部・従業員を「考える仕事」をするよう変革させることであり、その具体的方法は度々協調しているように三位一体方式しかありません。
 私の主唱する「三位一体方式」を早急に実践して頂きたいと思います。
 同時にもう一つの大前提は、経営トップが経営革新の必要性を認識することです。その為には、先ず「経営とは何をすることか?」を学び、身に付けておくことが第1で、第2には「我が社は今、何をなすべきか?」を明確にし、実行できることです。

 最近、この様な例がありました(2例)。どちらも日本本社で優秀な幹部として認められた人で、日本でも経営や管理について研修を受けて来た、初めて海外赴任した総経理で、ご本人も「自分は経営のことは分かっている。」と言っておられます。私が弊社の「BASIC MANAGEMENT SCHOOL」への参加をお勧めしましたが、「いや、私はこういうのはもう沢山研修を受けて来ましたので、大体分かっています。」と言われました。「そうではありません。私どものBASIC MANAGEMENT SCHOOLは極めて実践的なもので、現実の台湾での経営をどうするかを学べるので、ぜひ。」と勧めましたが、断られました。しかし、そのうち1人の方は「しかし、うちはまだ歴史が浅いので幹部の教育はどうしてもやりたい。」と言われるので、では「企業幹部訓練班にご派遣下さい。」と提案しましたら、「うちの幹部が『これはいい』と言ったら、行かせます。彼らは優秀なので、自分達で判断させたいのです。」とおっしゃった。「これは危ない。」と思いながら「では、管理部の幹部にご説明しましょう。」と言いましたら、その後管理部幹部は弊社の企業幹部訓練班を参観までして「これはすばらしいですね」と言われたのに‥‥‥3週間音沙汰が無いので、電話で「如何されましたか?」と台湾人幹部に尋ねたら、「副総経理やその他幹部に話したら『このやり方はうちの文化に合わない』と言われたので、参加しないことにしました。」と言う。
 どういう意味かお分かりでしょうか?
 台湾人の副総経理始め幹部達は、弊社の企業幹部訓練班のやり方を理解した上で、「これは大変だ。我々が行動革新させられる。こんな面倒な研修はやめよう。」と、恐れをなしたと言うことです。もちろん総経理に対しては「うちの企業文化にも、台湾人にも合っていません。」と報告し、総経理は「君達に合ったものを探しなさい。」と指示をして終りました。
 よくある事例ですが、台湾人幹部を信頼するのはよいのですが、だまされてはいけないという好事例です。経営の実務への理解が不足しているのです。
 この総経理には時間をおいてから説明するつもりです。すぐに説明しても面子もありますので、なかなか理解がしにくいものです。

 さて、第2の例を話しましょう。
 4年ぐらい前に企業幹部訓練班に数名の幹部を派遣して下さった会社ですが、総経理が新しくなって久しぶりに1名の幹部を派遣されました。
 研修の初日からどうも態度がよくない。初日は幹部の基本中の基本を教えるので、あいさつの仕方や電話のかけ方、報告や会議の仕方を教えます。が、そんなものは必要ない、との表情がありありでした。
 そこで私は彼と1対1でコミュニケーションしました。「あなたは会社の命令で、この研修が必要だから派遣されたのですよ。まじめに行動革新する意欲がありますか?もしなければ卒業資格に触れるので卒業できませんから、まじめに取り組むようにして下さい。」すると、彼は答えた「私は財務の専門家なので、あいさつや電話のかけ方は勉強しなくてもいいです。帰って総経理に話します。」と言う。「あなたの上司は協理でしょう。話すなら協理に報告しなさい。直接総経理に報告してはいけません。」とアドバイスしました。
 その結果、彼は第2日に来ませんでした。会社から何の連絡もありません。
 それで、しばらくしてから総経理に電話をしました。総経理曰く「会社から何も連絡していませんか?それはすみません。本人から話を聞きまして、自分には合わないと言うので、了解しました。過去にも参加した経緯があるので、彼の上司がその延長線上で適不適も考えないで申し込んだようなんです。」
 とんでもない話である。
 経営革新は幹部の革新から始まるということと、幹部の革新は総経理自身の仕事であることを心得ていないのです。総経理自ら研修の内容ややり方を理解し、活用する方法を把握し、教育機関と一体となって幹部を革新させることが総経理の仕事なのです。
 この事例では、総経理自身が自分で教育すると言う意識が欠如していること、従って研修の内容も活用方法も理解していないこと、自分で派遣したとの意識がない等々、自ら経営革新の必要性に対する認識が欠けているだけでなく、経営に対する行動面での認識が欠けていると言わざるを得ません。

 上記2例は「経営のことは分かっている」はずの経営トップが、実はよく分かっていないという事例です。こういう方が経験の中で気付く為には、約2年ぐらいかかるのではないでしょうか?いろんな問題にぶつかり、失敗しながら、ようやく「経営の仕方が分かっていなかった」と気付かれます。
 例えば、目標管理をやってもテーマの難易度がまちまちだとか、計画書が簡単すぎるとか、評価がうまく行かない、業績に直結しない等が起こります。コストダウンや5Sをやっても、なかなか大きな成果が出ない。受注管理も、もう1つ売上増大につながらない。等々、企業にはいろいろ問題があるでしょう。企業体質を変革しなければ、これらはうまく行きません。と言うより、幹部の革新から始めて企業体質を変革することによって必ず会社は良くなります。

 この様な問題があったら、どうぞご相談下さい。1時間以内のご相談は、費用はかかりません。どうぞご遠慮なく、お申し越し下さい。
 私が具体的にお手伝いする場合は費用がかかりますが、変革の費用は先行投資です。企業体質変革の後、回収が出来ます。

 益々の躍進をお祈り致します。

新原経営顧問(股)公司