皆川榮治のニュースレター 第16号(2003年2月11日)

企業革新をする会社が増えています

 新年おめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。
 忙しさにかまけてニュースレターを前号から2ヶ月休止してしまいました。申し訳ありません。
 お伝えしたいことは沢山あるのですが、景気が低迷していると言うのにどういうわけか超多忙状態になってしまいました。
 日本でも同じ現象が起こっている様です。最近マスコミにも出てくるようになった市川アソシエイツのコンサルタント市川さんも書いておられました。この1年、景気が悪いのに急激に仕事が増えていると。

 私の第六感では、日本でも台湾でもいよいよ次のステップへの始動が始まっているように思えます。と言うのは、最近の仕事は企業の体質を変えようという内容のものが多いからです。本当のリストラが始まっていると言うことです。
 例えば私のところで最近多い仕事は、先ず営業体質を変えようと言うもの、次いで給与・人事評価制度を実力主義・成果主義に変えようと言うもの。更には、目標管理を完全に循環させて業績達成に直結したものにしたいと言うものです。
 最後が幹部の育成で、私の用意している「企業幹部訓練班」などは、昨年は3月に第18期(20名)を卒業させたのに始まり、11月に第22期を送り出し、5期95人の卒業生を送り出しました。従って2ヶ月半に1期開始している勘定になります。更に最近の特徴は、受講生を派遣される会社の経営トップ(董事長或いは総経理級)が、幹部の育成に熱心な人が多くなったと言うことです。
 以前は「お金を払って派遣するから、よろしく教育して下さい」というタイプが多かったのですが、最近は違って来ました。もっとも私の方から「三位一体」のシステムを強調し、経営トップの指導・チェックが重要な役割を占めることをお願いしているからもありますが、それにしても熱心なトップが増えていることは本当に嬉しい限りです。その分、受講生もやる気を出して「企業幹部訓練班」参加の効果も目に見えて挙がって来ます。

 さて、この様に幹部を革新させ、企業を変えようと言う経営者が増えていることは企業が変革を迫られていると言うことに他なりません。
 私はかねがね主張して来ましたが、これからの台湾企業は知識経済時代への適応が急務です。先立って大前研一さんが2005年に中華連邦が成立し、台湾はその中に組み込まれると主張して大騒ぎになりました。私もかねがね、このままだと飲み込まれると言って来ましたが、私の場合はそうならない方法があると言っています。即ち――
 知識経済時代への対応とその実行こそが台湾が生き残る道であり、この改革をこの数年のうちにやり遂げなければならないと言うことです。

 では、どのような改革でしょうか?
 何度も申し上げているように「考える仕事」をするような幹部・従業員をつくり上げることです。
 例えば、顧客に対し販売活動する営業員が「今月はいくら買ってくれますか?」「今月は××百万元買って下さい」とお願いをして、顧客から「価格を5%下げてくれたら注文する」と言われ、会社に帰って上司に「5%DOWNしたら受注出来ます。OKして下さい」と言う。
 こんな営業員はどこにでも見られますが、この様な営業員をもっと考える営業員に革新させなければいけません。
 顧客の売上向上の為に「品揃えを提案する」「顧客の在庫状況、在庫の偏重を知らせる」「在庫の先入先出を指導する」。顧客の生産COST DOWNの為に「新材料を提案する」「置換を提案する」「メンテナンスの仕方を指導し、徹底させる」等々、考えて行動する営業員に変革させることが課題です。

 工場の現場作業員も同じです。
 例えば、不良率が高くなった。「原因は何だ?」「今朝から部品のロットが変りました」と簡単に結論を出してしまう。その結果、協力メーカーに改善を指示する。協力メーカーは慌てて調査するが分らない。と言うようなことが起こります。
 不良率の上昇する原因はいくつもあります。
 「作業者に問題はないか?」「操作の仕方に問題はないか?」「部品の供給方法?」「部品の保管の仕方?」「設備機械の具合?」「治工具の状態は変っていないか?」「部品をセットする受け口は?」等々、いろいろ考えてチェックしてみなければ本当の原因は見つけられないし、解決が出来ません。
 考える作業員に変革させなければなりません。

 幹部でも同様です。
 技術経理が課長を呼んで状況報告を求めます。
 「Y顧客との折衝はどうなっているか?」
 「ハイ、先日サンプルを提供し、試験方法も説明して来ました。
  2週間で結論が出ます」
 「そうか?必ず受注できるように営業部と連携して充分フォローする
  ように」
 「何か問題はあるか?」
 「問題ありません」
 こういうやり取りは多い。経理は課長の業務を掌握しているつもりだが、しかしこれでは危ない。受注できるかどうかは保証できません。
 「サンプルはいつ出したか?」「誰に提出したか?」「同席したのは?」「他に誰か知っているか?」「採購部には報告したか?」「当社は誰が行ったか?」「試験はどこでやるか?」「何部が参加するか?」「経営幹部は誰か関係しているか?」等々、受注する為に確認しておかねばならないことが沢山あるし、この様に質問することによって課長の仕事も深まって行きます。「有没有問題?」「没有問題」だけでは「有問題」になってしまうのです。
 幹部のやるべき仕事を充分にやっていないケースが多すぎます。こういう幹部をもっともっと「考えて実行できる」幹部に変革させねばならないのです。

 今、企業体質を変えなければいけない、と考え始めている会社が増えています。
 その為には、経営幹部から始めて、幹部人材の意識改革と行動改革をさせることが、企業体質改善のスタートです。
 更にこれを始めるには2つの大前提があります。即ち、経営トップが経営革新の仕方を知っていることと、経営革新の必要性を認識していることです。

――――――――――以下、次号にて詳述します―――――――――――

新原経営顧問(股)公司