皆川榮治のニュースレター 第14号(2002年8月20日)

老幹部を辞めさせたい

 最近、立て続けに「古い幹部を辞めさせたいが、どうしたらよいか?」との相談がある。
 この2ケ月で5件もご相談を頂いた。

 いずれも、来台10~20年の会社だが、経済状況も思わしくない中、企業体質強化に取り組まんとしているが、新しい変革について来られない古い幹部がいて、改革の足を引っ張っている、と言うものである。辞めさせたいと決心するまでには、董事長、総経理としては、何とか改革の先頭に立って貰おうと説得したり、コミュニケーションを図ったが、万策尽きて辞めさせるべきだと決心するに至った、と言うものである。
 そこで、これらの老幹部を辞めさせるに当っての留意点を整理しておきたい。(ここで「老幹部」と言うのは、年をとった幹部を言うのではない。経験年数も長く、職場の主<ぬし>の様な幹部を言う。)

 まず、第1に労基法の目的(第一章)の中に「‥‥もって社会と経済の発展を促進することを目的とする。」と書いてあり、第83条の労使会議の規定にも「‥‥労使間協力を促進し、労働能率を高める為に」労使会議を開催する、とある。
 更に、第11条解雇禁止規定の五項に「職務の遂行において、確実に能力上不適格と認められる場合」は除外する。即ち、予告解雇してよい、とある。
 即ち、会社の正常な発展成長や能率向上を阻害する様な従業員は、労基法の精神に合致しない、と言うことである。

 従って、第2に申し上げたいことは、この様な老幹部は予告解雇出来るわけで、第16条、第17条による予告期間に解雇手当を支払うことによって解雇出来るのである。
 但し、能力上不適格であることを本人が認めざるを得ない証拠を持っておくことが重要である。証拠なしにただ不適格と言っても、争ったら負けることになる。従って、2~3ケ月の時間をかけて不適格であることの証拠を固めておくことが必要である。

 第3に、この様な老幹部が退職させられた場合、県や市の労工局に訴えに出ることがあり、問題がこじれることがある。従って日頃から県や市の労工局にはあいさつに行って、顔つなぎをしておくことである。
 県や市の労工局の職員は人間関係が非常に大切で、普段からお付き合いが深いと親身になってくれる。会社が面識もないところに、老幹部が先に労工局に訴え出た場合、労工局の役人はただちに老幹部の味方になってしまい、後からいくら正しい理屈を持って会社から説明しても、聴いてもらえないことがあるので、日頃から親しくしておくことが肝心である。特に、日本人総経理自身が顔を出して、あいさつし、意思疎通しておくことが大切である。

 第4は、就業規則に「能力上不適格な者は解雇要件とする」との規定を入れておき、従業員の同意を得ておくことである。
 同意を得る為には(1)労働組合の同意を得る(2)組合がない時は、全従業員の同意(捺印)を取っておく(3)労使会議(労使同数)の同意を得ておく、ことである。

新原経営顧問(股)公司