皆川榮治のニュースレター 第10号(2002年4月9日)

知識経済時代への経営対応は?

 初めに「知識経済とは何か?」
 台湾政府は昨年来陳水扁総統を始め、度々この考え方及び方向性を許えて来た。2001年を知識経済元年と位置付け、台湾の今後の経済社会のあり方を示している。大変結構なことである。
 しかし、はっきりした定義が示されたことはない。そこで私はこれを次の様に定義したいと考えているし、また今までも何度か定義の必要性と次の定義を話してきた。

 即ち、知識経済とは-----
 「情報伝達技術の革新を知的活用することによって、生活・産業の構造や運営方式等、経済・社会全体が、より深く考える行動様式に変化し、効率化すること」である。

 これを見ると、知識経済の方向は自ずと明確になってくる。企業経営レベルでも、今までよりもっと考える仕事の仕方を定着させて行くことである。
 例えば次の2例を見て頂きたい。

1. IT時代の営業はインテグレート営業である

 即ち、企業の持てる技術、商品、サービスの優位性を、早く、正確に顧客に知らしめることに最大の使命がある。
 しかし、現状多くの営業員は御用聞き営業が多い。顧客からの要請や注文、質問を受けて初めて対応する、と言う処理型営業が多い。
 従って、インテグレート型営業を行う為には次の様な方向が不可欠である。

 (1)技術知識、商品知識の徹底学習
   →試験制度
 (2)顧客情報収集力の向上
   顧客から話を引き出す能力
   顧客の顧客情報を聞き出す
   情報収集と報告の型ぎめ
 (3)提案力の向上と実行
   顧客のニーズに応じた提案を自ら行う

 これらを実現する為には、これら営業活動をマニュアル化することと、そのマニュアルによる訓練を実施することによって、考える営業員をつくることである。
 従来の営業は顧客対応型であったがこれからは違う。「顧客の顧客」のことまで考えた情報収集、情報提供が仕事となる。この様な会社が、台湾で勝ち残るのである。

2. 分業中心の生産が部門ボーダレスへ

 営業は顧客から注文を受け、工場へ伝達する。工場の生産課はこれを生産手配する。量産品では余り問題は起こらない。しかし、当社独自の特殊技術を要する製品の場合納期対応で問題が発生する。
 従って生産課は、顧客や営業から文句を言われることを恐れて特殊品まで在庫を持ってしまう。安全在庫と言う言葉が正義の味方の様にまかり通っている。

 (1)顧客から、受注内容が決まる
 (2)技術部が仕様を決める
 (3)生産課から製造課に生産指示が出る
 (4)資材課が材料を手配する
 (5)製造課が生産する
 (6)出荷する

 このプロセスの中で各部門が安全を見ると、時間も、人も、物も、流れも多くのムダが出来る。今までの生産は分業であり、部門が分立している。
 この様な生産システムを続けるなら、世界の工場、中国の工場と何ら変らない。
 これからは考える工場の時代である。営業も、生産も、技術も、資材も、製造も、物流も関連他部門のことを了解していなければならない。各部門が、顧客ニーズへの対応を第一として、自部門内の情報を開示することである。それによって、全部門が自部門内だけでなく、他部門の状況を把握し、相互理解の中で最短納期への対応力が完成されるのである。

 企業内での情報の開示、他部門を熟知・把握する、部門間を超えるコミュニケーションの向上、これらが考える会社、考える仕事を創るのである。
 考えのある工場は、考えのない工場に勝つのである。

 「世界の工場」には考えの要らない仕事を任せればよい。台湾も日本も考える仕事を残して行くのである。

 (4月15日<月>弊社講演会第11回では、「知識経済時代の経営」について詳述する。ご期待下さい。)

新原経営顧問(股)公司