皆川榮治のニュースレター 第8号(2002年3月21日)

中国が変り日本も変り始めている(国際政治)

 10年前の湾岸戦争によって、ソ連は米国との軍事力の差を目の当たりにし、結果的に冷戦の終結につながったと言われている。
 湾岸戦争は砂漠の戦いであったので、戦車での戦いが各方面で展開された。米軍の戦車とイラクの戦車(ソ連製)はサイズも砲も鋼鉄の厚さも同格であった。しかし、飛距離と砲弾の照準器に差が有り、イラクの戦車は射程距離(3km)に入る前にコンピュータ制御の照準装置を持つ米戦車にことごとく撃破されたのである。ジェット戦闘機による航空戦でも同じ事が起こった。イラク空軍のミグ戦闘機は完膚なきまでに叩き落されたのである。
 この結果、湾岸戦争が1ケ月の短期で終了しただけでなく、1年後にソ連共産党政権が崩壊したのである。

 911テロ後、アフガニスタンで展開されたアフガン戦争で、同様のことが起こっている。即ち、IT技術を駆使した索敵能力と情報通信能力によって米軍はピンポイントのミサイル攻撃力を示したのである。
 これによってショックを受けたのはタリバンだけではなかった。中国である。
 中国東海岸に配備したミサイルが、例え先制攻撃で発射したとしても、それをキャッチした米第七艦隊のミサイルは中国沿岸の全てのミサイルを破壊し尽くすことが分かったのである。

 その結果、中国は対米戦略の転換を図らざるを得なくなっている。即ち、武力を背景とした外交姿勢は、表向きはともかく実体を伴ったものではなくなってしまった。台湾民進党とも話し合いの呼びかけを始めたし、ブッシュ大統領の訪中に当ってはパートナーシップを盛んにアピールしたが、ブッシュ大統領からは民主化の遅れを度々指摘され続けた。
 北朝鮮の不審船引き上げについても、中国EEZ海域内であるので簡単に日本に引き上げを認めることのない中国が今や黙認するものと見られている。5月には引き上げを実行することになろう。この背景には、この不審船が中国に寄航していたと言う事実が判明しており、中国が日本の引き上げに反対なら、必ずや日米同盟の強さを経験することになりかねないとの危惧が見え隠れしている。
 更に3月4~5日には台米国防サミットがフロリダで開かれた。中国は「内政干渉だ」と抵抗しているが、殆ど無視されて何らなすすべも無い状態である。台米断交以来の出来事で台湾側は喜んでいるが、アメリカはアフガン戦争を受けた後の中国の変化と、その後の日米同盟の位置付け、台米関係のあり方を基本的に調整する必要があったのである。従ってアメリカは中国のこの間の変化を読んでことさら台湾防衛の方向を色濃くするものと考えられるし、台湾も国防力を一層強化するものと考えてよい。

 すなわちアメリカはアフガン戦争の終結を見据えて、世界のテロ撃滅を明確にした("悪の枢軸"発言)だけでなく、共産政権の打倒を決意したものと見られる。
 とりわけ中国及び北朝鮮包囲網が拡がりつつある。前述の台米国防サミットに続き、中国、北朝鮮を含む7ケ国に対する核使用計画策定指示(ブッシュ大統領)、中国への日本ODA24.7%カットの決定、日本有事法制化の進展、不審船の引き上げ実施(5月頃か?)、韓国への米イージス艦売却の決定、米政府の北朝鮮核合意への保障取りやめ、米議会の台湾WHO加盟支持可決、北朝鮮拉致問題への政府取り組みの転換等々である。
 3月5日のブッシュ大統領参議院演説も重大な意思表示であった。日米同盟強化の流れの中で有事法制化を背景に、日本の対中、対露、対北朝鮮政策は徐々に転換して行くものと見てよい。
 中国寄り、ロシア寄り実力者(田中、加藤、鈴木)はずしも、この流れの中で行われている。

 度々申し上げるように、中国への投資は極めて危険である。リスク回避を充分に考えた上、行うべきである。

新原経営顧問(股)公司