皆川榮治のニュースレター 第5号(2002年2月6日)

アメリカ景気は底入れした ― 両ニラミ経営が重要

 1月30日アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)が、連続11回続けた金利引下げをストップした。公定歩合が1.25%で据え置かれたことになる。
 2000年12月の6.5%から2001年末の1.25%まで引き下げ続け、景気対策を講じてきたFRBだが、米国景気の底入れを判断したと見られる。
 「需要回復の兆しや経済活動の底堅さが明確になった」としている。消費の回復はまだ見られないが、IT産業を中心に在庫整理は完了したと見られており、すでに半導体を始めとして設備投資復活の動きが始まっている。

 インテルはすでに50億ドル(6,500億円)、サムソン(韓国)が2,000億円の投資を決めている。半導体はいよいよ動き出した。
 失業率の悪化も下げ止り、一時は大量のレイオフが続いたが、今やリコールが始まっている。
 IT投資も、活発化し始めていると言う。例えば、石油業界では油種(レギュラー、ノンレッド、ハイオク等々)の売れ筋を把握して、元売りがガソリンスタンドに即応体制を取れるよう、POSシステムの導入を全米に展開している。
 Kマートが倒産したが、全米2,000店舗を持つ第2の小売業である。トップのウォルマートに敗れたというのが定説であるが、全米に展開した5,000店舗のネットワークにPOSシステムを導入し、日本発のセブンイレブンでは当たり前のことを、大店舗が全米に導入。トップが売れ筋情報を把握し、直ちに小売店に顧客対応して来たのである。
 Kマートは欠品が多いが、ウォルマートでは欠品がない。顧客のKマート離れが始まり、やがて倒産となった。
 石油業界は今、全米にITを導入し始めている。顧客情報をトップに直結し、直ちに顧客対応出来る仕組みをつくる、これが正にIT時代のビジネスである。

 アメリカのIT投資が動き始めたことから、すでに日本の生産財への引き合いが増えており、半導体設備を始め生産財輸出が増加に転じると見られる。
 折から円安の追い風である。円安の原因と見方については次回のニュースレターに譲るが、日本輸出にはプラス要因に働く。
 日本の構造改革を進めることによって、日本の内需拡大は今少し時間はかかるが、輸出から景気好転への気配は見えて来た。
 当然、台湾企業も日本輸出に連れて好転へと向かうと見てよい。

 しかし、経営は両ニラミである。すでに、ご提案しているように不況を前提にした経営策を徹底的に今実践すべきである。
 人材のスリム化、優れた人材の育成、柔軟な給与体系への転換、新規事業への取り組み、行動力と決断力の向上等が挙げられる。

 同時に景気回復への体制固めもにらんでおかねばならない。
 営業体質の向上(御用聞き営業から提案型インテグレート営業へ)、考える生産ラインの構築(ライン生産からセル生産へ)、調達ルートの拡大、日本本社の動きのスピードアップ、目標管理制度の完全実施、知識経済への対応等が挙げられる。

 今経営は、不況対策と好転への助走との両ニラミである。

新原経営顧問(股)公司