皆川榮治のニュースレター 第4号(2002年1月25日)

経営理念を徹底しよう ― 雪印事件に関して

 雪印乳業がまた問題を起こした。子会社の雪印食品が、BSE(狂牛病)対策の国産牛肉買い取り制度を悪用して、オーストラリア産牛肉を国産と偽装して買い取らせたものである。1月24日雪印乳業の社長が謝罪したが、一昨年6月の大阪工場食中毒事件に続く不祥事である。
 この事件は昨年11月に発生しており、その時点で雪印食品の本社(東京)に告発があり、本社部長が出向いて調査したにも拘らず、不正はないと判断していたものである。

 これは、単なる幹部の不正事件ではない。会社の根幹をなす経営理念の問題であり、経営に対する真剣さの問題である。すなわち問題は2つあり、1つは経営理念としての「共生」概念の欠如であり、もう一つはこの概念を徹底することへの甘さである。
 私は従来から度々、経営理念の重要性を強調して来たが、一部上場の大企業のトップまでがこのような状況にあることが、今の日本企業の問題の深さを現しており、更に一層企業経営における経営理念の重要性を訴える必要があると考えている。

 今回の事件をもう少し詳しく見ると、一昨年の大阪工場食中毒事件に遡る。これは、社内の品質管理体制、消費者への品質責任意識の欠如として、前社長等の辞任・逮捕で社内体制一新へとつながったのであるが、2年もたたないうちに、子会社の出先責任者が(多分独断で)不正偽装を行ったのである。
 「共生」と言うのは元来生物学の言葉だが、経営では国家、社会、環境、法律、契約等と仲良くしよう、即ち遵守しようと言うもので、現代経営においては、この観念の欠如している例が多く見られることから、近年世界の経営(学)者がその必要性を訴えているものである。
 雪印は一昨年の事件で、遵法精神の重要性、社会(消費者)への責任を痛感したはずである。しかし、また同じことが起きた。
 これは、前回の事件で業績悪化し、何とか業績浮上させたい新経営者が、遵法精神、共生概念の徹底よりも、業績回復を優先させた結果だと言われても仕方あるまい。
 社長としては「あれだけ言ったのに、どうしてこんなことをやってくれるのか?」と言いたいのだろうが、それはちがう。社長自身の認識の甘さ、徹底の甘さに責任がある。

 経営理念の徹底の為にどれだけのことをやったか?が問題である。経営会議での取り上げ、研修会、文書、部門討論会、定期監査、幹部全員の誓約書、業務計画書への書き込み等々、方法はいくらでもある。同時に外部からのクレーム情報がスピーディに経営トップに上がる仕組みをつくらねばならない。
 日本の大企業では、根っからのサラリーマンが経営トップになっているケースが多く、経営体質が「みんなで渡れば怖くない式」になっている会社が多い。その結果、創業の理念への無理解・不徹底や決断力、実行力の欠如が憂延している。
 経営理念への認識と徹底とに甘さがあると、現場でボロが出てくるのである。

 もう一度強調したいことは、経営理念の重要さである。台湾で経営をあずかる方々に重々申し上げたいが、今回の事件を他山の石として、経営理念への認識を一層深め、従業員、幹部にその徹底を充分行って頂きたい。

 弊社でも、経営者の皆さんにお集まり願い「経営理念研究会」と言ったものを企画して、経営理念の意義,つくり方、重要性,徹底の具体的方法について学習する機会をつくろうと考えているが、如何? ご意見があれば、お寄せいただきたい!

新原経営顧問(股)公司